遺産分割協議と、高齢者・障害者
2014-03-12
Q 父が亡くなりました。相続人は兄と私と弟の3人です。兄は高齢のため、だいぶ判断力が衰えてきましたが、まったく分からないというわけではありません。弟は交通事故に遭い、脳に重い障害を遺し、兄姉の顔もわかりません。弟は独身なので、事故以来、私がすべて面倒を見ています。父の遺産を分けるには、どうしたらよいでしょうか。
A
(1)お兄さんについては、判断力の衰えの程度により、家庭裁判所の後見(民7条)か保佐(民11条)、又は補助(民12条)開始の審判の申立てをして、成年後見人(民8条)か保佐人(民12条)、又は補助人(民16条)をつけてもらいます。
(2)弟さんについては、あなたを成年後見人候補者として、後見の申立てをして、あなたが成年後見人に選任されるのがよいでしょう。
(3)遺産分割については、あなたと弟さんは、互いに利益が相反すると考えられますので、遺産分割についての弟さんの特別代理人を家庭裁判所に選任してもらうことになります(民860条・826条)。ただし、あなたが後見人に選任されたときに、後見監督人も選任されたとすれば、特別代理人選任の申立てをする必要はありません。(民860条但書)。また、家庭裁判所が遺産分割のための特別代理人だけでは、弟さんの権利を保護するのに不十分だと考えるときは、特別代理人ではなく、後見監督人を選任します。
(4)いずれにしても、お兄さんと弟さんの精神上の障害による判断力の不足を補い支援してくれる人をつけたうえで遺産分割の協議をすることになります。
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